函館は市電を五稜郭駅まで延ばすべき
(Wikipedia)
函館に行ってきた。およそ22年ぶりの再訪である。
北海道新幹線で新函館北斗駅まで行き、そこから「はこだてライナー」で函館駅へ。前回訪問時はブルートレインと飛行機だったので、新幹線に4時間乗って東京から北海道まで来れてしまう現実には改めて驚いてしまった。
しかしもう1つ驚いたことが「函館がくたびれている」ということだ。街中がとにかくスカスカに見えたのだ。
函館駅ロータリー付近こそ駅舎の建て替えを契機にした再開発があったのか、土産物屋街の「ハコビバ」があったり、新しめのビジネスホテル群が広がっている。だが、22年前にたまたま立ち寄ってくじ引きを引いた思い出がある棒二森屋デパートは閉店したままの空き屋状態だったし、少し通りを歩くと目に見えて空きビルが目立つ。徒歩10分もかからない松風町という場所のビジホを取ったのだが、駅周辺の飲み屋街を抜けると歩道脇にパチンコのマルハンがあり、マクドナルドのドライブスルーにツルハドラック、しまむらと駐車場完備のロードサイド店舗が目立つ。道の反対側も、空き地を活用する駐車場がやたらと目立つ。完全なる郊外風景である。
しかし、いまGoogleストリートビューを確認すると、10年前くらいまではこのあたりまでお店屋がひしめき合っていて、歩道も商店街仕様のアーケード屋根が函館駅からずっと続いていたようだった。前回も大雪の日だったが、確かに雁木の下を歩いた記憶が確かにある。今回はそれが取っ払われていたので、ビチョビチョの足元を気にしながら吹雪を浴びて松風町のホテルを行き来し、こんなに駅前市街地が狭かっただろうかと感じたのだ。
当時私はまだ小学生だったから函館駅前を大きい街に見えたのだろうとも思ったのだが、実際に街が小さくなっていたのである。ちなみに市の人口も当時30万人だったものが今は24万を割り込んでいるそうだ。
市電五稜郭延伸で活性化せよ
新幹線の新函館北斗駅から「はこだてライナー」で函館駅を目指すと、その1つ手前の五稜郭駅(画像)に停車する。長い立派なホームがあるのだが、私が見渡す限り誰も立っていなかったことが衝撃的だった。
駅に着いたらたった一人の地元のおじさんが降り、トボトボと出口に向かっていったのだった。道南のJRでは賑わっている方のはこだてライナー沿線でさえこれほどなのかと驚いたのだった。駅付近にはヤマダ電機やケーズデンキなどの看板が見えここら辺の人は鉄道の存在を無視して完全にクルマ社会で地域形成しているのだとはっきりわかった。
五稜郭駅が活用されないのは、観光名所の五稜郭が駅から東に2kmも離れていて、徒歩で行くには現実的ではない立地だからだ。なので多くの観光客は電車に乗ったまま4km南の函館駅に行き、そこからまた4km折り返すという、時間と交通費を浪費する移動を余儀なくされているのである。
だったら、実際の最寄りの五稜郭公園前電停から、JRの五稜郭駅まで市電を伸ばせばいいのである。函館を訪れる旅行者の多くは五稜郭観光をするわけで、着いて真っ先に行けたら都合がよいに決まっている。五稜郭周辺にもホテルも多く、そこにチェックインする人も当然利用するはずだ。
そしてこれは地元民にとっても重要ではないか。函館駅前が観光客向けの商店街であるのに対し、五稜郭公園前は地元の人向けの商業施設が多い商店街が広がっていて、デパートやタワマンもある。つまり近隣自治体民が街を目指すときにも、手前の駅で乗り換えて五稜郭公園前まで出られた方が都合がいいのである。
そうすると鉄道と市電をつなぐ交通結節点として五稜郭駅は重要な存在になる。ここにも人の流れが発生するから、空き地だらけの駅前周辺に地元民・観光客それぞれを相手にした商業施設が作られれば地域全体の活性化につながるのである。
宇都宮市のライトレール整備の成功のように、近年路面電車は再評価の流れになっている。函館も脱クルマ社会の契機に市電を延伸させ、JRと市電それぞれが五稜郭駅・函館駅の2地点を結ぶ構造を作り、観光客の回遊性を高めながら地元民の車に頼らない導線を整備し、そこに公共施設などを充実する方向を取るのはどうだろうか?