なぜ四国にフル規格新幹線は一生作られないのか
(Wiki)
兵庫県と四国・徳島県を結ぶ大鳴門橋は、その下部に新幹線用の線路を通すスペースが用意されているという。実際には着工されることなく骨組みのみで、その下には名物の渦潮の光景が広がっている。
四国には「新幹線を作れ」と言う声があるという。しかしまるで着工に向けた動きが進まないのはみなさんもご存じの通り。それはなぜかという、単純な話カネがかかる割に作る価値に乏しいからにほかならない。四国に限らず、昭和の田中角栄の時代に構想された「奥羽新幹線」とか「山陰新幹線」などが全く持って実現に向けた動きになっていないのも、作る価値がないからである。
その上で、四国が求める新幹線建設は「4県にまんべんなくフル規格路線を作れ」というものだ。徳島から愛媛を通って九州に抜ける四国新幹線と、瀬戸大橋経由で香川に上陸して高知に至る四国横断新幹線の2路線を作れと言うのだ。3か所も海越えの区間もあるから、建設費はバカ高くなるのは確実である。そりゃ、無理である。
新幹線は国土の軸を念頭に整備されるものである。例えば東北地方の場合、東北新幹線が青森まで伸びているが、その沿線にあたらない山形、秋田は途中分岐で在来線直通の「ミニ新幹線」で東京を結んでいる。山形や秋田の利益のためだけに奥羽新幹線をフルで整備するとお金がかかるからである。
そして東北新幹線は東北のためだけの路線ではなく、直通する北海道新幹線が札幌まで全線開業して初めて完成するものだ。これは西日本を結ぶ路線も同じ。関西と九州の間には山陽新幹線がすでにあるので、四国新幹線は必要ないのである。山陽新幹線自体も単体ありきではなく、直通する九州新幹線が鹿児島まで通っていて意味を成す国土全体の移動スケールでの幹線だ。
そりゃあれば便利なことは確かだから、フル規格新幹線を日本全体に張り巡らせた方が移動は便利になる。しかし建設費や維持費がすさまじくなることは明らかで、そんなことに予算を使うんなら経済対策や福祉に回す方が国家の益になる。大した人口のない田舎のためだけに四国に新幹線を作るということは、国民全体の利益に使うべく国の税金を特定地域の利益だけに分配することを意味し、公平性に反するので絶対に作られないし、作ってはいけないのである。