敦賀駅問題で減ったサンダーバード利用者を増やす方法

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 先日のゴールデンウイークは3月に北陸新幹線が敦賀に延伸開業して以降、初の大型連休だった。敦賀止まりとなった特急「サンダーバード」の利用者は前年比10%減に落ち込んだと報じられている。去年までは新型コロナウイルスの影響があったこと、ことしは旅行や行楽が活発になっていることを考えれば、本来なら増えていなければおかしくない。数字以上のサンダーバード離れが起きているということではないか。


 理由は乗り換えの手間が敬遠されているということだ。これまでは大阪から北陸の中心都市・金沢まで1本で直通していたが、敦賀で新幹線と乗り換える手間が発生したことが心理的なためらいをもたらしているようである。ちなみに名古屋を結ぶ特急「しらさぎ」に至っては旅客が半減している。かわりに名古屋~福井を結ぶ高速バスが人気を集めるようになり、所要時間は長くなろうとも座りっぱなしで一本で目的地に向かう高速バスに軍配が上がっている。


 このまま北陸特急は衰退の一途をたどるのか。私は減った利用客を増やすには特急の停車駅と運行区間の見直ししか方法はないと考える。以下の現象がそのヒントになる。

利用者増えた新快速

 実はこのゴールデンウイークで新しい光景が見られた。それがUターンラッシュの敦賀駅で関西方面への新快速を待つ行列が発生したことである。新快速は関東で言う湘南新宿ライン特別快速のような東海道線直通の速達列車で、最高速度は130kmと湘南新宿ラインよりも早い。その北側の最果てが敦賀駅だった。


 すべての人がサンダーバードの停車駅が最寄りというわけではない。たとえば高槻駅は停車する列車が少ないので、手前の京都で新快速に乗り換える必要がある。だったらそのまま乗り続けたほうがいいので、時間がかかってでも新快速で一本で行けるならそれにこしたことはないのである。


 巷で言うように「敦賀で乗り換え1回が発生したこと」が原因ではないということではないか。1回くらいなら我慢できる乗り換えが2回になったことで客離れが起きたというのが私の考えだ。

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 であればサンダーバードの停車駅を増やすのはどうか。サンダーバードは、かつては富山方面まで走る長距離特急だったことから、速達性を図るために関西区間の停車駅の数が極端に少ない。しかし敦賀以北が新幹線で大幅にスピードアップしたのだから、停車駅を増やしても不便になることはないのである。


 大阪・新大阪・京都のみ停車する最速達タイプが主体の運行を改め、高槻や大津市内の堅田などに停車する列車の割合をもっと増やすべきだと思うし、2011年に停車を取りやめた大津京駅を復活させてもいいのではないか。また、高槻市と人口規模のさほど変わらないとなりの茨木市や、大阪市のとなりの吹田市内に停車がないのも不便なので、これらの駅もサンダーバード停車に切り替えるのはどうだろうか。


 筆者の地元の湘南では、特急「踊り子」は大船から小田原までノンストップだが、朝夕の特急「湘南」は藤沢、茅ケ崎、平塚に加え、快速通過駅の辻堂や二宮さえも一部は停まる。その利便性で通常の列車から通勤客が特急に流れているのである。茨木や吹田にサンダーバードを止めろというと「快速が通過する駅に特急を止めるのはおかしい」とか一部の人に言われそうだが、おかしなことではないのだ。

サンダーバードは神戸発でもいい

 またサンダーバードが大阪始発というのも、大阪以西からすれば2度乗り換えを要されるので不便な話である。「スーパー雷鳥」時代の1997年までは神戸始発だったというのだから、神戸からも乗れるようにしたらいい。


 神戸市内から京都までは80km近く離れている。東京~小田原より少し短い程度である。であれば新幹線で京都までサンダーバードに乗り換えたほうが早くなるが、新幹線の停車駅は市街地から山側に離れた新神戸駅になる。すると神戸駅始発だと通常の電車で三宮まで出て、地下鉄で新神戸まで行き、京都でサンダーバード、さらに敦賀から新幹線と北陸方面への乗り換え回数は合計4回になってしまう。


 これが敦賀でのたった1回に乗り換えを抑えることができるメリットは大きい。加えて、西宮や尼崎も停車すれば、さらなる阪神地域からの北陸方面への誘導策になるのだ。


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