「京都市バス」は抜本的に見直すべき
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京都市営バスが大変なことになっているという。コロナ渦がひと段落付いたことで外国人観光客が殺到し、連日地元の人が乗り込めない事態になっている。それでもバス業界の人手不足問題からこれ以上の増発は困難。しかも財政危機の京都市において、これだけ大勢の客が集まっているように見える市バス事業も赤字路線だらけだという。
明らかに破綻している。京都の市バスの効率化のためには抜本的なバスシステムの見直しが必要である。筆者も去年の夏に京都を訪れ、何度かバスにも乗ったが、そのうえで以下のような転換策を提案したい。
鉄道重複区間のバスをすべて廃止せよ
まず今すぐにでもやるべきことが電車と経路の被ったバス路線の見直しである。京都ではバスは大混雑する一方、地下鉄は活用されておらず深刻な赤字経営である。しかし1編成につき600人~800人以上以上運べる地下鉄と1台80人が限界のバスでは明らかにバスのほうが輸送力があるほか、速度が速く渋滞もないので目的地により早く行ける。
それなのに京都では地下鉄と重複する路線バスがあまりに多いく、土地勘のない観光客は手っ取り早いバスを選択しがちである。たとえば京都駅から金閣寺に行く場合、地下鉄で北大路駅まで出てからバスに乗った方が早いし混まないのだが、行き先表示に「金閣寺」と書いてある205系統に多くの人が集中してしまうのである。しかも京都のバスは統一料金なので、全国で最も高い地下鉄代+バス代よりも初乗り運賃だけで行ける205系統が混んでいようが支持されてしまうのである。
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そして京都市内の鉄道は地下鉄ではない。京都市内にはJRはもちろん京阪や阪急といった私鉄があるのだから、これらの鉄道駅と被っているバス路線は原則廃止させ、電車のみの移動または最寄り駅からバスに乗り換えるやり方を徹底するべきである。
経路を集中させ、連接バスを導入せよ
そしてバスだけが走る経路にも改革の余地がある。京都市バスの路線図を見るとあまりにバス路線が多くて驚いてしまう。京都は「碁盤の目」と呼ばれる街割りで有名だが、その全部の道路にバス路線を走らせているかのような勢いがある。京都市民でも覚えきれないだろう。ハッキリ言って路線網が煩雑すぎるのである。
京都以外なら大都市の市街地であってもタテ移動、ヨコ移動などの主要な幹線道路はだいたい1つ2つくらいで、そこが多くのバスが走る導線となっている。しかし京都はどの道もバスが走ってしまうため、同じ方向を走っているバスでも路線ごとの混雑状況の偏在が起きるのではないか。きわめて非効率である。
このバス路線の選択と集中が必要である。地下鉄等の駅のない沿線でも、ちょっと1ブロック歩けば別のバスに乗れるような道沿いからはバス路線をなくすべきだ。同じ方面でも需要の大きい道路沿いのバスの発着状況を向上させるべきである。
連接バスは、2両編成の長大な車体によって1人の運転手で1度に膨大な客を運べるため、京都で深刻化する積み残し問題の解決ができる。経路を絞って連接バスに切り替えれば、高頻度かつ大容量のバス交通を実現できる。京都市内は4車線、8車線の広い道路だらけなので、道が狭くて連接バスが走れないという問題はない。
運賃前払い制にせよ
しかし後払い制の場合、下車の際に必ずもたついてしまう。人によっては運賃箱の目の前でパスモを忘れたことに気づいたり、なかなか財布が出て来なかったりするのだから、効率が悪い。なので関東ならば乗車区間で運賃が変動する郊外路線でなければ後払いにしたがらないのである。というか、神奈川の相鉄の一部路線は、郊外路線も申告制で前払いになっているほどだ。
ところが京都市バスは、なぜか「必要性のない後払い制」の奇妙な風習に固執している。なんでこれを辞められないのかが理解に苦しむ。後払い制に切り替えれば運転手は客を吐き出すだけで済むのだから、前後両扉を解放していっぺんに降車させることでより遅延を抑えられるのに、不可解そのものである。