地方が直面すべき「ローカル線が存在するのは日本だけ」という事実

  先日、Xで興味深いポストをみた。フランスの鉄道には各駅停車が存在しないというものだ。というのも1960年代にローカル線を大量に廃止し、幹線区間のローカル輸送もバス転換しているという。ちなみに在来線が高速鉄道TGVと線路幅が同じとなっていて、TGVは高速専用の300km運転の新線を走ったり、在来線に降りて既存の中心駅に停車したりしながら各地を結んでいる。


 筆者も数か月前にオランダに行った際にインターシティという快速列車に乗ったが、速度も速く快適そのものだった。首都アムステルダムの大都市を出ると快速とは思えぬ目まぐるしい勢いで景色が流れていき、車内の電光掲示板に時速200kmという表示が出てビックリ仰天したものだった。


 ヨーロッパだけではない。筆者が以前住んだカナダのバンクーバーでも、スカイトレインという地下鉄のような公共交通機関が市内と近隣自治体まで結んでいる以外の旅客鉄道は、大陸横断列車やアメリカ・シアトルを結ぶ国際列車の特急しか存在しない。実に多くの国で地上を走る鉄道は長距離を結ぶ都市間輸送に特化し、自宅から駅に出て市街地に向かうような地域輸送は、大都市の地下鉄しかないものだ。

(Wiki)

 ちなみにとなりの韓国でもかつてはローカル線があった。しかしフランスTGVを用いた高速鉄道「KTX」が2004年に開業して以降、KTVの乗り入れを念頭に置いた線形改良を推し進め、過疎地も含めて複線高架路線だらけになった。長らく上の画像のような気動車が運行していたが、去年最後の区間が廃止され、現在は急行列車が最も遅い種別になっている。


 日本の隣国で、生活様式や街の成り立ちもよく似た韓国でさえローカル線は成り立たないのである。つまり地方のローカル鉄道というもの自体がそもそも維持することは困難であるということだ。最近、地方の自治体が「地域の足のローカル線を残せ」と訴えることが目立つが、それは無理難題でしかないのである。


 地方に旅客鉄道を残せというのなら、徹底的な都市間輸送特化をしなければいけない。鈍行の駅は全廃することになるし、理想を言えば韓国のように全く別の場所に新線をつくってターミナル駅も移設するくらいの大掛かりなやり方をすることになる。しかし仮にそういうことをやろうとすると「地方切り捨てだ」とあの手の人たちは大反対するだろう。


 すると、本来は鉄道の急行や特急に乗っていた人たちは、ますます鉄道よりも便利で早い高速道路をマイカーや高速バスで移動するようになる。そしたら交通弱者の学生や老人しか乗らないローカル線はますます赤字を極め、維持できる路線も廃線を余儀なくされてしまうのである。



 

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