投稿

6月, 2024の投稿を表示しています

なぜ盛岡市民は岩手山「侮辱」に怒りながらマンションを建て続けるのか

イメージ
  (Wiki)  タカラレーベンが盛岡に建設中のマンション広告に、地元のシンボルの岩手山ではなく青森県の「岩木山」のイメージを掲載していた問題が大炎上となっている。両地域は歴史的に南部と津軽の藩の違いからライバル関係にあり、例えるなら東京スカイツリーと通天閣を取り違えるくらいありえないものだ。  東京からすれば「北東北の雪国にある名前も雰囲気も似た山」と言う雑な認識になってしまうのだろう。だが地方の人たちにとって山は特別な存在である。山岳信仰の流れは現代にも脈々と受け継がれており、代々大切にしていた民族アイデンティティーを侮蔑されたようなものだ。筆者は両親が東北出身なのでよくわかるのだが、寡黙で争いを好まない東北人がここまで怒るというのは、そうした背景もある。 例えば津軽と岩木山、盛岡と岩手山、酒田や由利本荘と鳥海山、福島と吾妻小富士、北関東の筑波山、富士山、米子と大山。ただの風景でなくその日の天候だとか地域の祭礼まで深く生活と心に根を張っている。唯一無二の関係性であって、この感覚ばかりは実際に住んだり行ってみないとわからない。 — 道民の人@6/23(日)北ティア G16 (@North_ern2) June 19, 2024  盛岡では市内名所の「赤レンガ館」を筆頭に歴史的建造物が多く残っている。それらは戦後高度成長期の乱開発を危惧した市職員が尽力したことで守られたものであり、 そのきっかけも岩手公園から岩手山が見えなくなったこと だったという。こうした取り組みが奏功してか盛岡はアメリカの高級紙ニューヨークタイムズによる 世界の「2023年に行くべき52カ所」に選定 され、外国人観光客でにぎわっている。  しかし近年は、その岩手山を望むまちなみを害するようなマンション建設が相次いでいるのも事実だ。 盛岡では赤レンガ館のすぐそばでも別のマンションが作られる など物議になっている。タカラが作っているマンションも元々は歴史ある酒蔵の建物だったほか、2013年には市の保護庭園に指定されていた老舗料亭がマンションになるなど、歴史や自然と調和した風情をぶち壊すような乱開発が起きている。 東京・国立では完成寸前のマンションを「富士山が見えなくなる」と言う住民の反対を受けて取り壊すことになった ばかりが、盛岡で主だった反対闘争が行われているようには見えない。  筆者...

小池百合子はなぜ「東の維新」になれなかったのか

イメージ
  (Wiki)  2期8年の任期を全うし、再び知事選に挑む東京都の小池百合子知事。いまにいたるまで小池一強の構図にも見えるが、自身が率いた都民ファーストの会の国政進出を狙った「希望の党騒動」では第三極作りに失敗するなど、決して順風満帆ではなかった。  大阪で橋下徹府知事・市長以来の維新政治を批判する人たちは、小池氏のやっていることは「維新の劣化コピーだ」という指摘もある。大企業の再開発を重視した新自由主義的な政策しかり、マスメディアを宣伝に用いたポピュリズム戦略しかり、表向き自民党政府とケンカをしているふりをしながらしっかり連携する功名なプロレス手法など、確かに共通点だらけだ。最近では街路樹や公園の木をやたら切ったり、都庁にケバケバしいプロジェクションマッピングを投影するなど顰蹙を買っているのも維新を後追いしているように見える。  しかし小池氏は維新と違い、都内の主要首長をほとんど自分の党派で制圧して国政で頭角を現すような牙城を築くことはできなかった。こうした「隙」があるからこそ、今回の選挙戦で蓮舫氏が乗り込んで互角にたたかえている現実がある。  なぜ小池都知事は東の維新になれなかったのか。その最大の要因は東京における地域ナショナリズムの不在だと私は考える。 大阪ナショナリズムを巧みに生かした維新 (Wiki)  維新のやっている政治は単純だ。「身を切る改革」と称し、自民党政府のかつての小泉・竹中構造改革路線をそのまま継承し、さらにそれを極端にしたものである。それ自体は平成時代にはありふれたものだった。筆者は神奈川県民だが、橋下氏が初めて政界進出した時、まるで横浜市の中田宏元市長の在任中の姿と一緒に見えたものだ。  しかし決定的な地盤は支持する地元住民の意識だ。維新支持層の原動力には「大阪ナショナリズム」がある。大阪はすなわち西日本最大の都市であり、西の首都にふさわしいのだというプライドと、関東に負けてたまるかという対抗意識だ。維新の政治家は、大阪弁を巧みに操り、人口では神奈川に、経済では愛知に凌駕されるに至った大阪の現状を批判し、世論を高揚させ、維新現象を起こしたのである。  特にそれに加担したのは在阪テレビである。大阪のテレビ局は東京叩きや(橋下氏以前の)大阪の行政の利権問題を報じる情報バラエティ番組を多く放送していて、そこでコメンテイターをやっていた...

東京の東西分断

イメージ
丸の内はオフィス街だから行く人も多いですが、そこから東はいかないですね — 渚のすべて @ (@katsudonking) June 20, 2024   いよいよ火ぶたを切った東京都知事選。3期目を目指す小池百合子都知事と、野党共闘候補で旧・民進党代表の蓮舫氏との事実上の一騎打ちの構図になっているが、一部の蓮舫氏を支持する側から「回る場所が都内の西側に偏重している」という懸念の声が広がっている。  というのも蓮舫氏は16日に町田駅前で大規模な演説会を行いSNSでその様子が拡散されたほか、選挙戦開始前の17日に小金井市の、そして18日には中野区にあるホールを貸切った集会をそれぞれ実施。20日には第一声を中野駅前で、そして新宿駅でも演説をしたほかきょう21日には八王子に向かうという調子で、この数日間ほとんど多摩方面の西側ばかりに足を運んでいるのである。  背景には地盤固めが考えられる。蓮舫氏は目黒区出身で幼稚園から大学前は渋谷の青山学園に通っていた「西側の人」だ。また、石原長期都政以来、東京都内の市区長が保守だらけになった中、西側は世田谷区の保坂区長や、岸本杉並区長、松下前武蔵野市長といった革新系の首長が多く、それらを支持するだけのリベラル系の有権者が大勢いる。  しかし東京都知事は、都内全体のリーダーであるのだから地域の偏重はよくないという批判がある。日本で一番の大都市である東京で、地域の分断構造が浮き彫りになっている。 東西の住人が交わらぬ東京 (Wiki)  東京はあまりにも巨大な都市であるためターミナルが分散している。例えば蓮舫氏が演説を行った新宿は世界最大の利用者数を誇る巨大駅であるが、西側からの集積が目立つ。山手線の左半分、世田谷や町田といった小田急沿線、中央線や京王線で八王子方面、西武新宿線で西東京というふうな感じだ。しかし23区の東側の下町住民には皇居を挟んだ新宿は遠いので疎遠だそうだ。  逆に下町住民は東側の駅に集まりがちで、たとえば足立区の北千住駅は都内で4番目に多い乗客数だという。これはなんと東京駅以上である。首都圏全体や全国から見れば北千住なんてマイナーな下町の地名でしかないが、駅のある足立区は70万人、となりの葛飾、墨田、荒川区で164万人と、川崎市を越える人口規模になる。  縁が薄い地域であるほど解像度が薄くなるものだ。東京西側...

日本の方向性に求められる「欧米か、アジアか」

イメージ
世界競争力、首位はシンガポール 日本は過去最低38位 https://t.co/Haa0GFm5Sa 日本は前年から3つ順位を下げ、特に「ビジネスの効率性」を巡る評価が低く。分野別で起業環境や国際経験などが最下位でした。 pic.twitter.com/zHTzPBgKGK — 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) June 18, 2024   日本の世界競争力が過去最低の38位に落ちたという。欧米先進国に大きく差がついているだけでなく、首位のシンガポールを筆頭に香港、台湾、韓国などに抜かれている。SNSではこの「アジアに抜かれる日本」という厳しい現実が人々にショックを与えているようだ。  このように欧米に大差をつけられアジアに抜かれるという構図は最近では一人当たりGDPをはじめに当たり前になっている。日本は明治維新以来「脱亜入欧」のもと近代化を進め、戦後はアメリカに追い付け追い越せで高度成長期やバブル経済を謳歌したが、欧米を見習うだけでなくアジアを重視するべきだという論者が散見されるようになっている。  最近の日本では、先行するアジア企業を真似て日本の自動車メーカーもEV重視に切り替えるという論議があったり、文化の面でも韓国や中国の流行カルチャーが若者に広まるなど、「アジア化」の傾向がある。かつての日本の住宅は欧米同様に戸建て中心だったが、東京都心を筆頭にタワーマンションが乱立しているのも、タワマンが住まいの基本形となっているシンガポール、香港、台湾、韓国あたりにそっくりだ。小さい島すべてが大都市化したシンガポールや香港は土地不足でタワマンにせざるを得ないが、台湾や韓国では田舎でも田んぼの間にマンション群があったりする。日本の地方都市でもタワマン再開発が増えつつある  しかしアジアを見習うことが必ずしも正しいかというと私は疑問がある。筆者はシンガポール以外ならアジア近隣地域に友人が大勢おり、何度も訪問経験もあるが、課題点が山積しているように感じるのも事実だ。 伸びるアジアは日本超えの超少子化状態 出生率。ヨーロッパより低いアジア。その中では日本はマシな方。 1.91 フィリピン 1.65 マレーシア 1.21 日本 1.05 タイ >1.00 シンガポール、台湾、香港、韓国 人類の宿命として受け入れるべし。少子化対策は要らない...

JR北海道「特急の快速化」は自殺行為だ

イメージ
  (Wiki)  北海道で特急列車の快速化が懸念されている。JR北海道では旭川~網走を結ぶ「大雪」を来年のダイヤ改正で快速に格下げすることを検討していると 地元紙北海道新聞が伝えた ほか、札幌~室蘭を結ぶ「すずらん」(画像)についても同社社長が先の記者会見で 「安くご利用というニーズが強いのであれば、特急でなくてもいいと思う」と見解 を示したことが波紋を広げた。  JR北海道は慢性的な経営難が指摘されている。さかのぼること国鉄時代の1970年代から赤字ローカル線の廃線が続いているが、それでも札幌地区を含めた全路線が赤字だ。最近では幹線レベルの廃止も続き、特急が走る主要幹線でさえも「黄色線区」と呼ばれる単独では維持が困難なレベルになっている。大雪が走る石北本線や、すずらんが通る室蘭本線の一部走行区間も黄色線区だ。  今年度以降の設備投資計画においても、これらの特急車両の新型への置き換えの予定はない。よって鉄道ファンたちはこのまま快速に格下げされ、普通列車と同じロングシートの車両になるのではないかという強い危惧がある。 あー、すずらんと大雪の車両更新入って無いんだ だから快速化なのね... https://t.co/OGVWXjsGbf — chihatan (@chihatan4) June 19, 2024  北海道では全国の鉄道路線と同様、コロナ渦で大幅に乗客を減らしたものの、これらの特急はアフター・コロナでの利用回復率が乏しいという。3月に全車指定席化と割引の廃止を実施したところ利用は激減。当日に安価な自由席を買ってふらっと乗るような顧客を失ってしまった形だ。  高ければ乗らないなら特急料金不要の快速にすればいいのかというと、それは間違いだ。なぜなら快速化によってそのまま消えた特急は全国に幾らでもあるのだ。 快速化という死亡フラグ (Wiki)  JR九州では博多から熊本方面を結ぶ「有明」(画像)が熊本から先の区間で豊肥本線に乗り入れて周辺自治体まで直通していたが、2011年の九州新幹線の全線開業後は豊肥本線区間のみを快速の「豊肥ライナー」に格下げした。ところがこれはうまくいかず、2年後には普通列車になってしまった。  ほかにもJR東日本で奥羽本線の山形~秋田間を走った「こまくさ」は、1999年に山形新幹線が新庄まで開業することで区間が短縮化され快速...

「東京ディズニー大混雑」は新テーマパークの大チャンス

イメージ
いやこの絵はツラすぎるだろ。。。 一般ファミリー層が始発より前に来るなんて無理だし、パス拾いも勝てるわけがない。。 pic.twitter.com/oVzwVrPwGf — (D)だみ (@staff0226) June 7, 2024   東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」をめぐりファンの間で論議が起きている。新エリアは入場制限がなされており、別途の優先券や課金が必要だという。  この光景に長年ディズニー好きだったファンたちは不満を爆発させている。最近の東京ディズニーリゾートは予約制や別途課金といった仕組みが増えすぎていて一般層が楽しめないというのである。以前は何も考えずに当日の思い付きでふらっと来園し、いくつかアトラクションを楽しんで食事や買い物をするということができたが、いまは入園も予約制で、グッズの購入やイベントなども細かいシステムがあったりし、「高度な知識があって金銭的余裕のある人」でなければぞんぶんには楽しめなくなっている。その極めつけが今回の「ツラすぎる絵」だということだ。  しかし別のファンたちからはパーク側を庇う声もある。SNSでみなが口をそろえているのは「この10年くらいでディズニーが異様に混雑するようになった」ということだ。つまりあまりにも客が増えすぎたので、制限や課金などをしなければ対応しきれないということである。新エリアを作ったのも園内の客を分散させるためといえるし、そこに膨大な人一点集中すればアトラクションはパンクしてしまい、テーマパークなのに風情も楽しめないだろう。課金が必要なのも無理はないのである。  もちろん今の混雑についてはコロナ渦を開けてのリベンジ消費とか、円安の影響で海外旅行ができなくなった人たちが非日常体験を求めに来ているとか、インバウンドの増加などといった昨今特有の事情もあるが、コロナに入る前から「最近のディズニーは混みすぎている」と言う声はよく耳にした。ちょうど 10年前の2014年をピークに顧客満足度が下がり続けているというデータ もある。パスポート料金の値上げラッシュが始まった年である。  以来、客は増えるが混雑で満足度が下がり、混雑をなくすために課金や制限を設ければそれも不評を買う負のスパイラルが起きているのであるが、これには社会状況が大きく変わったことが理由に挙げられるだろう。 ...

地方都市の地域輸送は10km圏が限界

イメージ
  (Wiki)  去年開業の宇都宮ライトレールが大成功しているという。栃木県宇都宮市からとなりの芳賀町の工業団地までを結ぶ区間で、沿線はいわゆる郊外環境が広がっている。起点・終点どちらも通勤客の受け皿になっているので、その間に住む人たちを中心にまんべんなく乗られているわけである。  ところで宇都宮駅から芳賀・高根沢工業団地駅までは路線距離約15km、直線距離だと10km圏になっている。これは宇都宮地区における鉄道の混雑する区間とほとんど一致する。おととしJRでは宇都宮地区の減便・減車を行い、東北本線・日光線で乗客が乗り込めない事態になったと言われているが、東北本線で得に混む宇都宮~宝積寺間が11km、日光線の宇都宮~鹿沼間が12kmほどだそうだ。  減便・減車は利用客が少ないために効率化で行われたことだ。路線全体でみれば終点の黒磯や日光までの全体を見ればガラガラの区間が目立っていて、そこに長い編成の列車を何本も通しても空気輸送になってしまうので適正化を図ったところ、宇都宮地区のラッシュに耐えられなくなってしまったというわけである。  ふと気づくと、地方都市はこのような10km圏前後に収まる輸送形態が定着している。例えば筆者は以前、福島駅から東北本線の下り列車に乗って藤田駅まで利用したことがあるが、福島で乗った客の多くは途中の伊達駅あたりで降りていた。沿線が田舎だから人が乗らないのかと思ったが、だったら伊達駅の利用者がガラガラでもいいはずだ。よく考えたら福島~藤田は直線で15kmもあるのだ。 (Wiki)  一方、福島駅から山形県に向かって分岐する奥羽本線は一部の列車は庭坂駅が終点だという。庭坂駅があるのは福島市内で、そこから山形県境を挟む壮大な板谷峠越えがあるのだが、峠を越えず市内のたった2駅で完結してしまうのである。実は庭坂駅が10km圏の限界なのである。  同様の傾向は青森にもいえる。青森県では旧東北本線の「青い森鉄道」が新駅を作ったり、高校や集落に近い場所に駅を移すことで活性化を図っているが、あくまでそれは青森駅から10km内での現象なのである。つまり地方都市であっても、中心駅から近い範囲であればやりようによっては伸びしろがあるものの、そうでない場所は過疎のままだということだ。  宇都宮ライトレールを作った際に参考にした富山港線は、廃線となったJRロ...

名古屋が嫌われる理由

イメージ
  (Wiki)  以前、インターネット上で愛知県庁(画像)が「日本で最もダサイ庁舎」として話題になっていた。戦前昭和に建てられた歴史ある構造物だが、西洋風の近代ビルに名古屋城の天守を模した屋根を乗っけたさまがナンセンスだというのだ。  これは帝冠様式と呼ばれる当時の建築様式で、名古屋市役所のほか全国各地にもみられるものだ。しかしここまで和洋アベコベっぷりが露骨なのは愛知県庁のほかにはにないだろう。そしてこの構造物の奇妙な見てくれにこそ「名古屋文明」が顕著に現れていると私は考える。  国内第三都市である名古屋。しかし名古屋にいい印象を持つ人はほとんどいない。観光地としても不人気であるし、名古屋支社に左遷されたら涙する人もいる。なぜここまで嫌われるのか。それは以下のような理由があるからではないか。 名古屋式の排他的権威主義  1つには権威主義だ。さきの県庁舎の外観からは、なんとなく建築当時の軍国主義の前夜の匂いが漂うほか、近現代になってもお城なんかをありがたがってお武家様の時代を引きずっている感じがするのも否めない。ちなみに愛知の人気の深夜ローカル番組のタイトルも「ノブナガ」だった。  筆者は神奈川県民だが、横浜は歴史的にはただの寒村だったので、お城の類はなかった。首都の東京は江戸を改めた街であり、明治維新の時点で封建時代と決別している。その代わり、現代文化を常に追い求めてきて発展したものだ。東京最大の繁華街の渋谷は戦前にはド田舎扱いだったのだ。  しかし名古屋の場合、名古屋城の城下に形成された街の構図が、明治以降もそのまま引き継がれている。城の周りに県庁や市役所が構えて権力中枢が居座り続け、その下ったあたりに栄という繁華街がある。名古屋人はこの街の構造の下権力構造から逃れられない。  名古屋には中華思想のようなものがある。中枢に近いほどよしとされ周縁になるほど地位が下がるのである。名古屋駅も、名古屋城側の東口はそれなりに開けているが、西口は大都市と思えないほどほとんど何もない。さらに名古屋市内と市外、愛知県内と県外でも序列構造があり、岐阜から名古屋に通う人は土着の名古屋っ子バカにされるという。県は違えど快速電車でわずか20分程度なのにである。  さらに自動車ならトヨタ、鉄道ならJR東海のように絶大な影響を持つ企業が多い。JR東海は「葛西帝国」と呼ばれ、葛西元...

横浜市は川崎市を編入合併して末端区を独立させよ

イメージ
(Wiki)  神奈川県といえば第一都市は県都の横浜市、第二都市は川崎市である。人口は横浜が市としては日本一の377万人、川崎が155万人である。しかし近年は川崎が伸びている一方、横浜市が低迷気味だ。人口も川崎は2019年に神戸市を抜き全国6位に伸びた一方、 横浜市は3年前から減少 し続けている。  川崎市が伸びている背景に都心に隣接した地の利の良さがある。長らく工業都市で公害問題で住みづらい街であったものの、脱工業化で汚染の問題も気にならなくなりタワーマンションが増えている。また東芝や富士通の本社移転が相次ぎ、川崎駅前はビジネスの街に変わりつつもある。再国際化が進む羽田空港も多摩川を挟んですぐの市内同然の立地だ。  それに対して横浜市は平成後半ごろから栄区などの末端部で人口減少が進みだし、全体が落ち込むようになっている。私はその原因は公共サービスの脆弱さにあると考える。1つの市でありながら人口は川崎の倍以上、静岡県並みという稀な大所帯の自治体である。ちなみに日本の市の人口順位で横浜の後に続く大阪市や名古屋市は都心機能があって自治体を潤す経済基盤があるが、横浜はただのベッドタウン。少ない税収で膨大な市民の面倒を見る必要があるので無理が生じてしまう。 「ハマ弁問題」などは典型 である。文化会館も各区に揃っていないので成人式は新横浜のアリーナで全市一挙開催となり、末端区民の新成人は参加するだけでも片道1時間くらいかかったりする。  一方で、横浜に隣接する大和市や藤沢市は人口が伸びていて、その先の茅ヶ崎市や海老名市さえも成長している。こうした自治体は都心アクセスは横浜より悪いものの、地元に密接な行政が子育て支援等の様々な施策を取り組んでいるので、ベッドタウンに住みたがるファミリー層は近隣自治体を選ぶようになってしまうのだ。  何より、神奈川県というのは全国でもいびつな構図がある。県内に政令指定都市を横浜、川崎、相模原と3つも抱え、この3市民だけで県人口の半分以上を占めてしまう。これらの市に住む人たちは県民税も市民税も払う必要があるが、政令市には多くの権限が県から降りているので「二重行政」で損をしているのも事実である。  こうした一連の課題を解決するために、私は 横浜市は川崎市を編入合併して末端区を独立させるべき だと考える。 横浜市川崎区や戸塚市があった方がいい  具体的...

靖国神社は宗教である

イメージ
  (Wiki)  靖国神社の石柱が落書きされた問題がネトウヨの間で大きな関心事になっているそうだ。犯人はいわゆる 中国版迷惑系Youtube で、それに対して「中国版ネトウヨ」たちが礼賛している。  しかしながら中国のネット上では落書きの動画は拡散されるたびに削除されており、事件を受けて 中国当局側は不適切な行動を控えるよう呼び掛け ている。中国は軍国主義の象徴である靖国神社を良く思っていないが、迷惑系の低俗な行為までは庇いきれないということだ。  ところでこの間、ネトウヨたちの間で不思議な言説が蔓延している。 ネトウヨは「靖国神社は宗教ではない」というのだ。 なぜかお仲間のはずの 産経新聞記者が「宗教施設に対する冒涜行為である」と会見で自説を展開 したところ、それがネトウヨの間で叩かれているのだ。 靖国神社は宗教法人である 靖国神社は宗教法人だよ。 https://t.co/Q08ns6nKKr pic.twitter.com/xi4FTmvWrF — M16A HAYABUSA (@M16A_hayabusa) June 4, 2024  ネトウヨの間では、靖国神社は戦没者を追悼する国家施設であって宗教ではないと本気で考えられているが、これは間違いだ。  まず靖国神社は一宗教法人である。つまりお寺や教会、創価学会などの新興宗教と同じ 世の中にたくさんある新旧宗教団体の1つにすぎない のであって公的機関ではない。国が管理する無宗教の戦没者の墓地としては千鳥ヶ淵戦没者墓苑という施設がある。一方靖国神社は戦没者を「神」とみなし、それを祀り上げる宗教であって、千鳥ヶ淵と性質は大きく異なる。ちなみにネトウヨがよく「アーリントンはよくてなぜ靖国参拝はいけないのか」というが、アメリカのアーリントン国立墓地は千鳥ヶ淵同様無宗教の施設だ。  日本は信教の自由が認められた文明国である。日本人の中にはキリスト教徒もいれば創価学会員もいて、彼らは神道を信じておらず鳥居もくぐれない。徴兵された戦没者にもクリスチャンはいるわけで、勝手に神道の神様扱いされるということは亡くなった本人も遺族も許容できるものではないわけである。天皇も千鳥ヶ淵には行っているが靖国参拝はしない。政治的偏りがあるからだ。 (Wiki)  ちなみに神道自体は神話の時代から存在するが、靖国神社の歴史は浅い。...

西日本で相次ぐ内部告発潰し

イメージ
   ことし3月、兵庫県の職員が斎藤元彦県知事の「パワハラ」などを内部告発したところ、事実無根として懲戒処分されたことがあった。しかし メディアで大きく取り上げられた結果、最近になって知事側が再調査を決めた という。  もちろん告発者の側が話を盛っている可能性はあるが、元幹部職員が告発文を肯定しているとカンテレが報じているなど議論の余地がある。もし仮に、本当に不正があったにもかかわらず、知事側が告発を一方的に否定して職員に処分を下していたとしたら、権力の横暴である。再調査の結果を待ちたい。  このようなキナ臭いニュースが最近頻発している。 和歌山市職員が公益通報を行ったのちに、処分された職員と同じフロアに配置されて自殺した事件 が明るみになったほか。 滋賀県の食品工場では告発者がその後の「報復人事」を訴え 裁判になっている。 〈独自〉漏えい情報は「鹿児島県警の捜査不正」を告発する内容か 逮捕された前・生活安全部長 幹部による警官事件隠ぺいなどの疑い https://t.co/YogyJMZzkI #南日本新聞 #鹿児島 — 南日本新聞 373news.com【公式】 (@373news_twit) June 4, 2024  また鹿児島県では警官が情報漏洩で逮捕された問題で、その情報が県警の不正を訴えるものだったと地元紙ガスクープしている。かりにこの不正が事実であったなら、公権力の不正を明るみにした正義が犯罪者扱いされる由々しき事態である。鹿児島県をめぐっては、 県テニス協会の不正な会計処理を告発した元副理事が除名された問題 も報じられたばかりである。  兵庫、和歌山、滋賀、そして鹿児島。すべて西日本の出来事なのである。これは奇遇だろうか。私は 西日本の地域性が事態を面倒にしている という風に考える。 モリカケサクラはすべて西日本  「理不尽に加担されて現場の人間が潰される問題」として真っ先に思い浮かぶのが第二次安倍政権下の森友学園問題ではないか。学校法人への国有地の売却を巡り、文書の改ざんに関与させられた近畿財務局職員が自殺するという痛ましい事件だった。  そもそも 当時の首相夫人が名誉校長を務める小学校を作るため に教育勅語を子どもたちに教え込むヘンテコな右翼趣味の学校法人に国有地がタダ同然で売却される異常事態である。何から何までイカれているのだ...

踊り子は湘南停車の列車を作るべき

イメージ
  (Wiki)  東京と伊豆半島を結ぶ特急「踊り子」は大船を出ると小田原まで東海道線をノンストップで運転している。間に挟んだ湘南地域は完全スルーだ。筆者は湘南に生まれ育った人間なので子どもの頃から地元を素通りする踊り子を見るたびに疑問に思っていた。  調べたところ理由は遠近分離のようである。かつての踊り子は藤沢、茅ケ崎、平塚に停車する列車も設定されていたが、停車駅が快速並みに多くて速達性に乏しかった。そこで東海道線では1989年に普通列車の二階建てグリーン車や快速「アクティー」を導入し、湘南方面から早く移動したい客やリクライニング席で快適に過ごしたいい客はこちらに乗せるようになり、湘南地域は全駅通過扱いになってしまったという。  だが果たして今のままでいいのかという疑問がある。大船を出れば田舎同然の沿線環境だった昭和の時代と比べると、湘南はベッドタウンとして目覚ましく発展を遂げた。藤沢市は44万人、茅ケ崎市は25万人、平塚市は26万人都市と、地方県なら県庁所在地レベルの人口を擁している。ちなみに特急が通過していた1989年なら藤沢は35万人、茅ケ崎市は20万にやっと届いたくらいだったから特急を飛ばしても仕方がないのも確かだったが、当時と今では状況が大きく違うのである。  そして人口が増えたのは内陸側の県央地域も同じである。藤沢駅からは小田急江ノ島線が、茅ケ崎駅からは相模線が県央方面を結んでおり、これらの駅は県央の膨大な後背人口を抱えていることになる。ちなみに東海道線のライバルの小田急の特急「ロマンスカー」は藤沢はもちろん、相模線を介して茅ケ崎と接続する県央の海老名にも2016年から停車するようになった。海老名は人口14万都市だが、小田急とJR・相鉄の乗り換えターミナルとして有力な駅である。  これは湘南出身者の地域エゴではない。沿線環境が変わっているのだから、停車駅を変えるべきではないかと強く考える。 実は東京直通の意味がない踊り子 修善寺踊り子は、東京〜横浜でぼちぼち乗車→小田原〜湯河原でぼちぼち下車→熱海で更に下車→三島で満席に→伊豆長岡で半減、あとは修善寺まで、という乗客の流れだった。ほとんど東京直通の意味が無い。 — yanagi1 (@yanagi1) May 26, 2014  そして近年の利用実態を考えても踊り子は東京と伊豆を結ぶ列車とは...

国家の虚構性を理解できない日本人

イメージ
(Wiki)  蓮舫氏が都知事選に出馬表明したことで、再び「国籍問題」がネトウヨの間で盛んにさけばれている。この件は8年前に決着がついているが、 台湾系日本人の蓮舫氏 が都知事に就任すれば、それだけでも日本の多文化社会の進展に大きな影響をもたらすものだと思う。  日本は多重国籍を認めていない。しかし欧米先進国では多国籍は当たり前だ。たとえば人気俳優でもあるアーノルド・シュワルツェネッガー氏は在任中オーストリア国籍を有したままカリフォルニア州知事を務めていた。いわゆる「ゴーン事件」でも注目されたように、フランスのルノーから日産に移ったカルロス・ゴーン元会長は、フランス国籍以外にも出身地のブラジルや逃亡先のレバノンの国籍を持っている。  海外の常識において、国籍と言うのはただの行政手続きの類でしかなく、住民票のようなものに過ぎない。神奈川県に転居して長く住むなら神奈川県民になるように、アメリカに本格的に移住する人は米国籍を取得する。たまに「日本人ノーベル物理学賞受賞者」のニュースがあるが、南部陽一郎氏、中村修二氏、真鍋淑郎氏らは米国籍を取得しているので、厳密には日系アメリカ人1世である。  日本は少子化で人口が減っている。有能な人材が海外に流出することを懸念しているのなら、多重国籍を認めるべきではないかと考える。しかしそれを許さない世論はネトウヨ以外にも「普通の日本人」に広く存在する。彼らは「日本人」であることを過大視しすぎではないかと思う。 国家と言うのはそもそも虚構のような存在 である。 台湾の「国父」は台湾人ではない (Wiki)  蓮舫氏の件がややこしくなった理由が、日中国交正常化により日本が台湾と国交を断絶しているからだ。つまり大陸の「中華人民共和国」のみが認められ、蓮舫氏が「中華民国」の国籍喪失許可証を日本の役所に提出しても、そんな国家はないというのが日本国の立場である以上、法務省に突っぱねられてしまったのである。  では中華民国が台湾国家なのかというと、それも違う。明治時代から先の大戦まで日本は台湾を統治しており、当時の中華民国は大陸中国の政体だった戦後に国共内戦で負けた国民党軍が大陸から逃れて実効支配して今に至っている。  たとえば中華民国を作った孫文は台湾で長らく「国父」と呼ばれていて、台北には国立国父紀念館(画像)という顕彰施設もあるし、100ドル紙...

地方が直面すべき「ローカル線が存在するのは日本だけ」という事実

イメージ
フランスの地方幹線、地図見てると「え、線路沿いにこんな集落あるのに駅ないの?」という箇所がまあまあありがち。 で実際乗ってみるとこれ(廃駅) そういうところを「各駅停車が」160km/hでぶっ飛ばしていく pic.twitter.com/63jyFRSyfQ — まー (@mtfs125) May 24, 2024   先日、Xで興味深いポストをみた。フランスの鉄道には各駅停車が存在しないというものだ。というのも1960年代にローカル線を大量に廃止し、幹線区間のローカル輸送もバス転換しているという。ちなみに在来線が高速鉄道TGVと線路幅が同じとなっていて、TGVは高速専用の300km運転の新線を走ったり、在来線に降りて既存の中心駅に停車したりしながら各地を結んでいる。  筆者も数か月前にオランダに行った際にインターシティという快速列車に乗ったが、速度も速く快適そのものだった。首都アムステルダムの大都市を出ると快速とは思えぬ目まぐるしい勢いで景色が流れていき、車内の電光掲示板に時速200kmという表示が出てビックリ仰天したものだった。  ヨーロッパだけではない。筆者が以前住んだカナダのバンクーバーでも、スカイトレインという地下鉄のような公共交通機関が市内と近隣自治体まで結んでいる以外の旅客鉄道は、大陸横断列車やアメリカ・シアトルを結ぶ国際列車の特急しか存在しない。実に多くの国で地上を走る鉄道は長距離を結ぶ都市間輸送に特化し、自宅から駅に出て市街地に向かうような地域輸送は、大都市の地下鉄しかないものだ。 (Wiki)  ちなみにとなりの韓国でもかつてはローカル線があった。しかしフランスTGVを用いた高速鉄道「KTX」が2004年に開業して以降、KTVの乗り入れを念頭に置いた線形改良を推し進め、過疎地も含めて複線高架路線だらけになった。長らく上の画像のような気動車が運行していたが、去年最後の区間が廃止され、現在は急行列車が最も遅い種別になっている。  日本の隣国で、生活様式や街の成り立ちもよく似た韓国でさえローカル線は成り立たないのである。つまり 地方のローカル鉄道というもの自体がそもそも維持することは困難である ということだ。最近、地方の自治体が「地域の足のローカル線を残せ」と訴えることが目立つが、それは無理難題でしかないのである。  地方に旅客鉄道を残せとい...