なぜ盛岡市民は岩手山「侮辱」に怒りながらマンションを建て続けるのか
(Wiki) タカラレーベンが盛岡に建設中のマンション広告に、地元のシンボルの岩手山ではなく青森県の「岩木山」のイメージを掲載していた問題が大炎上となっている。両地域は歴史的に南部と津軽の藩の違いからライバル関係にあり、例えるなら東京スカイツリーと通天閣を取り違えるくらいありえないものだ。 東京からすれば「北東北の雪国にある名前も雰囲気も似た山」と言う雑な認識になってしまうのだろう。だが地方の人たちにとって山は特別な存在である。山岳信仰の流れは現代にも脈々と受け継がれており、代々大切にしていた民族アイデンティティーを侮蔑されたようなものだ。筆者は両親が東北出身なのでよくわかるのだが、寡黙で争いを好まない東北人がここまで怒るというのは、そうした背景もある。 例えば津軽と岩木山、盛岡と岩手山、酒田や由利本荘と鳥海山、福島と吾妻小富士、北関東の筑波山、富士山、米子と大山。ただの風景でなくその日の天候だとか地域の祭礼まで深く生活と心に根を張っている。唯一無二の関係性であって、この感覚ばかりは実際に住んだり行ってみないとわからない。 — 道民の人@6/23(日)北ティア G16 (@North_ern2) June 19, 2024 盛岡では市内名所の「赤レンガ館」を筆頭に歴史的建造物が多く残っている。それらは戦後高度成長期の乱開発を危惧した市職員が尽力したことで守られたものであり、 そのきっかけも岩手公園から岩手山が見えなくなったこと だったという。こうした取り組みが奏功してか盛岡はアメリカの高級紙ニューヨークタイムズによる 世界の「2023年に行くべき52カ所」に選定 され、外国人観光客でにぎわっている。 しかし近年は、その岩手山を望むまちなみを害するようなマンション建設が相次いでいるのも事実だ。 盛岡では赤レンガ館のすぐそばでも別のマンションが作られる など物議になっている。タカラが作っているマンションも元々は歴史ある酒蔵の建物だったほか、2013年には市の保護庭園に指定されていた老舗料亭がマンションになるなど、歴史や自然と調和した風情をぶち壊すような乱開発が起きている。 東京・国立では完成寸前のマンションを「富士山が見えなくなる」と言う住民の反対を受けて取り壊すことになった ばかりが、盛岡で主だった反対闘争が行われているようには見えない。 筆者...